太古の昔から雨は陸に降り、地中の金属を中心とした微量元素を溶かし、海に流れています。
そうして蒸発と降雨を繰り返した海には、微量元素が濃縮されました。
地球上の生物は海から生まれ、ヒトは魚類、両生類、哺乳類、類人猿の時代を経て進化しました。
私たちは、ヒトの体の中、特に血液には故郷である海の元素がすべて残っており、
ヒトは微量元素をアミノ酸や蛋白 などと結合させ免疫機能として利用しているのではないか⋯⋯
そして、がんなどの病気になると免疫機能が活性化されるため微量元素のバランスに変化が生じるのではないか⋯⋯
私たちは、このような仮説を立て、日夜実証研究に取組んでおります。
がんリスクスクリーニング検査とは、検査時点におけるがんの可能性(がんのリスクがどのくらいあるか)を調べる検査のことをいいます。
がんの有無を直接調べ診断する検査ではありませんので、
確定診断のためにはCTやMRIなどによる精微な画像診断、細胞を調べる生検等が必要となります。
メタロ・バランスがんリスクスクリーニング検査では、健康な人とがんに罹患している人の
微量元素濃度のバランスの違いを測定テーブル化し、それと被検者のものとを比較することにより、
その類似度合い等によりがんである確率を0.0〜10.0の数値(MBスコア)でお知らせいたします。数値は高いほど、がんであるリスクが高いことを意味します。
MBスコアによるリスク度合いを判断する目安として、0.0〜2.4を「A判定」、2.5〜4.9を「B判定」、5.0〜7.4を「C判定」、7.5〜10.0を「D判定」に分類し、お示しいたします。
それぞれの判定の捉え方は以下の通りです。
A判定 | 比較的低いリスク |
---|---|
B判定 | 普通のリスク 成人に日本人の罹患率と同程度のリスク |
C判定 | やや高いリスク 要経過観察として該当部位を気にかけてお過ごしください。 |
D判定 | 高いリスク お住いの市区町村で実施されています「がん検診」の受診をお勧めします。詳細は市区町村の保健福祉の窓口にお問い合わせください。 |
スクリーニング検査の能力・精度を表すのにROC曲線が用いられます。
ROC曲線は縦軸に検査の感度、横軸に検査の(1-特異度)をプロットしたグラフです。
感度とは患者を当てる確率、特異度は健康な人を当てる確率のことです。
このROC曲線が①の赤の線に近づくほど良い検査と言えます。
このROC曲線の下部の面積をAUCと言い0~1の間で変動しますが、面積が大きいほど優れた検査法とみなされます。
ちなみにグラフ①, ②, ③に対応するヒストグラムのイメージは次のようになります。
グラフ①のように、検査値ががん患者と非がん者の間で完全に分かれる場合は最高精度の完全な検査と言えます。
この場合のAUCは1となります。
逆にグラフ③のように、両者が全く重なる場合は、
両者の区別がつかないわけですから全く意味のない検査であり、AUCは0.5となります。
*ROC:receiver operator characteristicの略
*AUC:area under the curveの略
国立がん研究センターでは、現在使われている大腸がんのマーカーはAUCが0.669または0.622であるため、
これを改善・向上させる研究として、大腸がん患者の血液中に存在する疾患に特異的なエクソソーム(注1)を迅速に検出することで、
早期診断につながる画期的検査法を開発した、との
ニュースリリースが2014年4月にありました。AUCは0.820とのことです。
一方メタロ・バランス検査の大腸がん検査では、AUCが男性で0.94です。
このようにメタロ・バランス検査では、遺伝子等を利用した最先端の検査技術と
同程度の検査能力・精度が十分に期待できるのです。
MB検査における各判定ごとのリスクの程度は以下の通りです。
例えば、男性の大腸では、A判定でも3,000人に1人はがんが見つかることを意味します。また、D判定でもがんが見つかるのは18人に1人であり、逆に言えば17人は精密検査をしてもがんではないと判断されることを意味します。